【落語はろー・データ編】公開中(ここをクリック)

古今亭志ん生、八代目桂文楽、三遊亭圓生、古今亭志ん朝など過去の名人落語家の残された落語音源データを公開しています。

 
【演芸とりどり掲示板】(http://koudanroom.bbs.fc2.com/)

 

今回の「ラジオ寄席」は八代目林家正蔵特集でした2014年11月03日 09:30

 プロ野球日本シリーズもめでたく先週のうちで終わり、昨夜、無事「ラジオ寄席」八代目林家正蔵特集が放送されました。
 一席目は「反魂香」。落語はろー・データ編に掲載した通り先代正蔵のこの噺はCDにもレコードにもなってなく大変貴重な音源です。コレクターで録音された方は大切に保存しましょう。1968.03.16に放送されたもので、放送タイムは18分33秒、私の所持している音源は24分08秒ですので5分30秒ほどのカットがあった模様です。  二席目の「引窓与兵衛」。これは私も所持していなかった音源で、1958年の高座とアナウンスされました。放送タイムは25分58秒。今回は収穫の多い放送でした。
 以降の「ラジオ寄席」は9、16日が公開録音の放送で、出演者は9日が隅田川馬石、Wコロン、桂文治、16日が東京太・ゆめ子、ぺぺ桜井、三遊亭歌之介。23日、30日が「懐かしの名人芸」の放送になる模様です。期待して待ちましょう。

落語研究会・桂米朝DVD全集発売2014年11月05日 18:07

 今日、ユニバーサル・ミュージックより「落語研究会・桂米朝全集」が発売されました。DVD8枚組で17席。お値段は税抜きで30,400円。私はアマゾンで購入しかなり割引になりましたがそれでも結構なお値段です。
 落語研究会のDVD全集が初めて発売されたのが2007年の小三治から。それまでは落語研究会での「名人」の映像を見るのは大変でした。TBSテレビで放送されていた「落語特選会」「おはよう名人会」を録画したビデオテープは後発のマニアの垂涎の的でした。圓生についてはレーザーディスクやセルビデオも発売されましたがいずれも高価で、特にセルビデオ(全部で20巻)なぞは1席が収録されただけのテープが4千円もしたりしました。
 2007年の小三治全集発売以後、八代目文楽、圓生、志ん朝などなどが発売されます。1枚単位での発売でなく数枚組とした「全集」で価格も1万5千~4万5千円と決して安いとは言えません。しかもレンタルは一切なし。もちろん図書館にもなし。落語ファンは中高年の比較的、経済的に恵まれた層が多いからと、売る側も強気なのでしょうか。
 今回の米朝全集の発売で、ラインナップは12人の落語家で全集は18巻となりました。ちなみに18巻全部揃えるとなると、お値段の合計は税抜きで56万8千円。軽自動車の価格の半分ほどにもなってしまいます。
 落語研究会のDVD全集も、今回の発売で、世間で言われる「名人」は出揃ったように思うのですが、来年以降の発売予定はあるのでしょうか。六代目松鶴、五代目柳朝などは残っている映像も少ないかも知れませんが、全集という形にとらわれずに是非世に出して欲しいと思います。あるいはまた、地上波やBSでは無理かもしれませんが、CSのTBSチャンネルなどで、DVD全集にするほどの数の映像が残っていない落語家(先の2人ほか、小南、春団治、四代目圓遊など)の高座を放送してくれると嬉しいのですが。
 それにしてもTBSはこれだけの映像をよく残してくれたものです。以前も記しましたが、1970年代まではテレビ放送された映像を「残す」というコンセプトがテレビ局に無く、録画したテープは使い廻しするのが通常で、NHKの大河ドラマにしても完全な形で映像が残っているのは、1978年放送の「黄金の日々」以降だそうです。ところが、TBSは落語研究会での圓生の映像を、DVD12枚組の全集を上・下巻発売できるほどのビデオ映像を残してくれているのです。当時の放送用のビデオテープは非常に高価だったそうで、この点、落語ファンはTBSにもっと感謝して良いと思います。
 今回発売された米朝のDVDについて早速収録タイムを計るなど、落語はろー・データ編更新のための作業を始めています。来週ぐらいまでには新データを盛り込んだページに更新しますので、興味のある方は覗いてみてください。

三代目三遊亭金馬没後五十年2014年11月09日 10:36

 三代目三遊亭金馬が亡くなったのは、昭和39(1964)年11月8日、昨日はちょうど五十年目にあたります。昨日は夕方から某落語家さんの会へ赴く予定があったので、その前に三代目金馬の墓参りに行こうと思い立ちました。
 例によってネットで調べると、墓所は銀座線田原町駅にほど近い台東区寿2丁目にある永見寺という寺だとのこと。初めての墓参りで問題になることは、寺がどこであるかはすぐに分かるとして、その墓地のどこに目的の故人の墓があるかという事です。グーグルアースでみると、永見寺の墓地は狭く家一軒分ほどの広さなので、現地へ出向いて適当に探せば見つかるだろうと、楽観的な心持で当日家を出ました。
 田原町の駅から、仏壇屋の多い浅草通りを稲荷町駅方面に歩きます。3分ほど歩いて、菊屋橋の交差点で左折してすぐの所に永見寺はありました。曹洞宗の寺です。(下の画像をクリックすると大きな画像で見られます)

三代目金馬墓所永見寺


 境内に入って墓地の方へ向かうとはて困った。墓地の入り口には「檀徒以外の立ち入りを禁じます」と掲げてある。しかしさすがに赤の他人とはいえ慕う故人の墓に参りに来た者を門前払いにするような事はなく、境内右手にある庫裡でお花か線香を求めれば、墓前で参拝させていただけるとのこと。
 庫裡で名前と住所を記し、線香一対で200円をお納めし、寺の方に案内されて、三代目金馬の眠る「加藤家歴代の墓」へ。都会の寺ということで墓は小さ目。「墓なんてぇものは小さくても良い」と万事やかましかった先代金馬なら言いだしそうです。墓石の左側には「昭和三十年十一月再建 施主 三代目三遊亭金馬事加藤専太郎」と刻まれています。先代金馬が千葉県の佐倉駅近くの鉄橋で列車に轢かれ重傷を負ったのが昭和29(1954)年2月のこと。一歩間違えれば死に至っていた先代金馬が、自身の「死」というものを意識して、直後にこの墓を建立したのかもしれません。なお、寺の方から「写真撮影はご遠慮ください」と告げられていますので、墓の写真をアップすることはできません。某落語家さんのブログに、この墓の写真が載っているのですが大丈夫なのか?
 昭和39年は東京の落語界の大物の訃報が相次いだ年で、3月には二代目三遊亭百生、8月には八代目三笑亭可楽と二代目三遊亭円歌、そして東京オリンピックが閉幕をした直後の11月8日に三代目三遊亭金馬が亡くなりました。思えばこの昭和39年というのは落語界にとってひとつの節目だったのかも知れません。昭和20年代後半に民放ラジオ局が次々と開局しNHKを含めこぞって落語をはじめとした演芸番組をかける。そして昭和30年台、空前の落語ブームとなり落語は映画などとならんで庶民の娯楽の王様となる。その後日本という国は経済大国へと突っ走って、昭和39年には東京オリンピックが開催されると、人々は急速に目新しいものへと関心を移すようになり、落語などの古いものへの興味を失ってゆく。昭和30年代の最後の年に三代目金馬をはじめとした大物の落語家が亡くなったのは、そんな日本という国の変化の象徴的な出来事だったのでは、そんなふうに思います。

 墓の写真がアップできなかった代わりに、先代金馬の葬儀案内のハガキの写真を貼っておきます。十年くらい前、ネットオークションで出品された際の画像を取り込んだものです(私は落札していない)。著作権の問題とかあるかも知れませんが、先代金馬のように喧しい事は言わないでおいて下さい。

三代目金馬葬儀案内


来月14日に総選挙?2014年11月14日 21:46

 いきなり降って湧いたように、来月、衆議院議員選挙が実施されることがほぼ決定したようです。政治の世界でも、この解散・総選挙を予測した人はほとんどいなかったのでは無いでしょうか。
 でですが、選挙は14日の可能性が大きいとのことで、この日の夜のTBSの「らんまんラジオ寄席」は放送中止になる公算が大きいです。順序から言って秋田での公開録音の放送予定だと思いますが、この番組の場合、公開録音の放送が中止となった場合、必ず別の日に振り替えて放送するようです。やはりお客さんをわざわざ集め金をかけて収録したものをオンエアしないのはもったいないからか?
 そういう訳なので、下記のラジオ寄席のサイトはこれからも細かくチェックするようにしましょう。

http://www.tbs.co.jp/radio/format/yose.html

カセットデッキ2014年11月16日 05:07

 落語とは直接関係のない事なのですが、落語音源収集マニアとしては問題になることなので記しておきます。
 私は高校生だった1980年代前半からちょっとしたオーディオファンでして、プリメインアンプだのチューナーだのカセットデッキだの種々のメーカーの単品コンポを組み合わせて(いわゆるバラコン)オーディオ趣味を楽しんでいました。
 しかし、2000年代に入ると、mp3とかのデジタル音源でPC上にてお手軽に音楽などを録音・再生することが多くなり、従来のオーディオシステムを使用する機会はめっきり減ります。
 そして3年ほど前、購入して十数年ほどの一部故障しながらもだましだまし使っていたカセットデッキが完全に動かなくなります。さて困った。私の落語音源コレクションでMDが出る前、カセットテープの時代に録音したテープや市販のテープが200~300本ほどあって、まだデジタル化(mp3化)をしていない物も多数ある。
 そこでアマゾンでカセットデッキを探したのですが、もうこの時代、カセットデッキというものはほとんど販売されてないのです。1~2種類ありますが、それもかなり高価。結局、ネットオークションで中古品を落札・入手します。
 ここで落語の録音されたテープのデジタル化を進めなければならないのですが、生来の無精にてそれが出来ない私。遅々として進まず、そして先日久しぶりに作業を始めようとすると、中古で入手したこのカセットデッキが正常に作動しない。それでも電源を入れたり消したりしてガチャガチャ適当にやっていると20回に1回くらいは再生できるようで、テープ3本ばかしを再生、PCに取り込んでデジタル化しました。しかしその後、その騙しも効かなくなり完全に再生できなくなります。
 やはり中古品では駄目か。やはり少々高くても新品を買おうと、3日ほど前またアマゾンで検索します。そうすると、かつての有名オーディオメーカーの製品で3万円の品がある。アマゾンでの取り扱いは今年6月からで、まだ発売されて間もない機種らしい。Wカセット・オートリバースとのことで、こんな機能は要らなく基本性能だけあれば良いのですが、なによりこれより他に機種がないので、3万を出して購入することにしました。
 そして昨日届き、早速梱包をほどいてみました。まず初めに気づいたのですがドルビー(ノイズリダクションシステム)が付いていない! ドルビーは1980年代以降、激安品でなければ付いてて当たり前の機能なのですが、それが付いていない。しかし、これは私が購入する際にしっかり製品性能を確認しなかったからだと諦め、次に電源を入れ試しにテープを1本再生してみました。再生して驚いた。ドルビーが付いていないので「サー」というノイズが多いのは当然として、音が歪んでいる! それもひどい歪み方。テープの回転もいい加減で音がゆらゆら揺れる。あまりにひどい音質に10秒と聴いていられずすぐに再生を止めました。テープを変えてもう一度再生。やはりひどい音。
 過去の音源は出来るだけ、高音質でデジタル化し残して置きたいと思うのが人情というもの。このアマゾンで購入したあまりにひどい新品の3万円のカセットデッキはこのまま納屋にぶち込むことにしました。何十万も出せばそれなりに高品質のデッキも買えるかもしれませんが私はそんな経済的余裕はありません。再びネットオークションで1万5千円ほどの中古品を物色することにしました。
 それにしても、件の3万円のデッキの製造元であるメーカー。私がオーディオ趣味を始めた30年ほど前には既に、カセットデッキの専門メーカーとしてオーディオファンの間では良く知られた会社でした。それが現在、あんな歪みの塊のようなひどい音質の製品を市場に出すメーカーに落ちぶれてしまったのか。呆れるというかかつてのオーディオファンとして悲しくさえあります。
 落語のCD・DVDもまだまだ買いたい中、今回3万円ドブに捨てたのは痛かった。皆さんもまだカセットテープやビデオテープ、それにMDディスクを所持しているかも知れませんが、早急なデジタル化をお勧めします。技術を始めとした世の変わり様はあまりに速い。コレクターとしてもそういう時代に敏感になって対応していかなくてはならないのです。

ドラえもんと藤子不二雄と落語2014年11月17日 05:10

 数日前、ネットのニュースで漫画「ドラえもん」の単行本の新刊が8年ぶりに発売になると報道されました。私は小学3年の頃から中学1年の頃までドラえもんの熱烈なファンだった。ドラえもんのニュースが流れる度に当時のことを思い出します。
 ドラえもんの連載が始まったのが昭和44(1969)年。当初ドラえもんは小学館の学年別の学習雑誌それぞれに掲載されていましたが、昭和52(1977)年に漫画雑誌「コロコロコミック」が創刊されます。学年別学習雑誌の漫画の部分を補完するような性格の雑誌でした。
 小学4年生の時に私はこの雑誌の創刊号を購入しています。当初は季刊で年4回の発行でしたが間もなく隔月発売となり、さらにその後月刊となります。初期の頃は「藤子不二雄」に全力を入れており、創刊号は「ドラえもん200ページ」と銘打ち、分厚い雑誌の5分の2ほどが「ドラえもん」で埋め尽くされていました。創刊し立てでまだ知名度の無かったこの漫画雑誌を買ったのは多分クラスで私だけではなかったのでしょうか。クラス内の十人ほどに貸すことになり、私の元に戻ってきたときには「ボロボロコミック」となってしまった。コロコロはその後何度か性格を変え、今でもナントカという大ヒット漫画を連載しているそうですが、今ではその名前を知ろうとも思いません。
 コロコロコミックを読むようになって私の「ドラえもん趣味」に火が付き、単行本を買い揃え、各学年の雑誌に掲載されているドラえもんを図書館で読み漁り、趣味は高じて、ノート1冊を使い五十音順にドラえもんの秘密道具の名と、その道具の登場する巻数・ページとを表形式で書き連ねたりしていました。あれれ? 今現在作成・公開している「落語はろーデータ編」と似ているというかソックリではないか。40年経ってもやっていることに進歩はないものだ。ドラえもんだけで飽き足りない私は藤子不二雄の別の漫画も買い揃えました。「オバケのQ太郎」「21エモン」「ウメ星デンカ」「キテレツ大百科」などなど。
 中学1年生の時、学校での成績が大幅に落ちたことを機会に私の「ドラえもん」と「藤子不二雄」趣味は終わりを迎えます。単行本は13巻まで買いました。その後、第何巻まで刊行されたのだろう。今回発売される単行本は第何巻になるのだろう。ネットで調べればすぐに分かりますが敢えて調べません。
 さて、このブログは「落語はろー」と称しています。ひとつ強引に落語と結び付けて、9月3日は六代目三遊亭圓生の誕生日そして命日。そして2112年にドラえもんが誕生する日でもあります。もちろん両者の事実(ドラえもんの誕生日は事実?)にはまったく関係なく、ドラえもんの場合は何かと「129.3」という数字にこだわる藤子不二雄の遊び心から定められたものです。
 なんで落語の話題を取り扱うこのページで「ドラえもん」「藤子不二雄」の話題が出てくるかというと、藤子不二雄の漫画には、落語との関連を伺わせる場面が多々あることから。「ドラえもん」では「人間切断機」という回があってこれが、落語の「胴斬り」そのまま。オシッコの落ちまで落語のエピソードを流用しています。また「21エモン」「ウメ星デンカ」には「ゴンスケ」という田舎者丸出しで少々狡すっからいロボットのキャラクターが出てきますが、これももちろん落語の権助から。オバケのQ太郎では「上にドが付く小池さん」という回がありました。ラーメン大好きでお馴染みの小池さんの職業をあれこれ詮索する場面で、頭に「ド」の字が付く夜にする職業だとする場面があります(正解は動画製作会社の社員)。これはもちろん「道具屋」からです。
 実は「藤子・F・不二雄」は落語の大ファンだったとか。先日放送された彼の生涯を振り返る番組で今も保存されている仕事場を撮した場面がありました。以下はそれをキャプチャした画像で、棚の一画に落語のカセットテープがずらりと並んでいます。(下画像をクリックすると大きな画像で見られます)

藤子・F・不二夫の部屋の落語カセット


 今、私はコミックには全く興味はないのですが、落語ファンになり、落語と藤子不二雄の関わりに気づき始めた頃からのささやかな「望み」があります。それは、膨大な藤子不二雄の漫画を読破し、落語が元ネタになった部分をすべて洗い出すこと。
 それにはまずは「藤子・F・不二雄全集」を入手しなければなりません。実は今でも過去に親しんだ藤子不二雄の漫画をむしゃぶり付くようによみたいという欲求にたまに襲われます。今では新聞の4コマ漫画も読まなくなった私が、再びコミックを読む日はくるのでしょうか。

次回の「ラジオ寄席」は三代目三遊亭金馬特集2014年11月20日 18:39

 TBSラジオのサイトで次回以降の「ラジオ寄席」の予告がされています。

http://www.tbs.co.jp/radio/format/yose.html

 23日は三代目三遊亭金馬の特集で、演目は「居酒屋」、そしてもう一席は大変嬉しいことになんと「城木屋」! 先代金馬の「城木屋」はCD、レコードで発売されていないのはもちろん、私はこの音源を所持していませんし、私の知り合いのマニアの方々を通じてもこの演目の音源が現存するとの話を聞いたことがありません。といいますか、私は先代金馬が「城木屋」を演じていたということも知らなかった。先代金馬の音源はもうあらかた出尽くし、新しい音源はなかなか発掘されないと半ば諦め気味だったのですが、まさか新演目が出てくるとは思いませんでした。
 かつてCBSソニーから発売されていたLP全集解説書中の保田武宏さん作成の資料「三代目金馬の持ちネタ」によると確かに「城木屋」は一覧にあります。そのリストによれば持ちネタの数は152だとか。まだまだ放送局にはお宝音源が眠っているのでしょう。「城木屋」といえばなんといっても圓生、そして現在では歌丸さんの口演の印象が強いのですが、はたして先代金馬はどのようにこの噺を演じるのでしょう。興味津々です。

 いいことばかりでなく、いつもだと「公開録音」を2週連続、「懐かしの名人芸」を2週連続というパターンなのですが、今回の懐かしの名人芸はこの先代金馬特集1回のみで、その次の放送は11月30日、12月7日と公開録音が続きます。12月14日は総選挙の日でラジオでも選挙特番があるとの事がもう既成の事実なので、懐かしの名人芸の放送を1回分中止し、その代わり公開録音の放送を1週ずつ繰り上げたのだと思います。世間も「何のために今頃選挙をやるの?」という雰囲気のようですがどんなもんなんでしょう。
 できれば年末年始にスペシャル番組としてまた「懐かしの名人芸」を放送して頂きたいものです。

立川談志の墓参りにゆく2014年11月23日 19:11

 一昨日11月21日は立川談志の命日でした。談志が亡くなったのは2011年のこと。亡くなった当初その死は家族とごく一部の弟子しか知らなかったはずでしたが、情報はどこからか漏れたようです。噂を聞きつけたマスコミが弟子や関係者にあれこれ取材したものの、なかなか裏が取れません。正式に死去が発表されたのは2日後の23日。この日は祝日だということもあってか他に大きなニュースは無く、NHKの夜7時、9時のニュース、テレ朝報道ステーションなど、夕方から夜にかけてのテレビのニュースは軒並み談志死去がトップ扱いで大きく報じられました。まだ東日本大震災や福島原発事故のニュースの続報が次々と流れていた時期、一人の芸人の死がこれほど大きく報じられたのは私としては意外であり、また「噺家」の死をメディアがこれほど大々的に扱ってくれたことは、不謹慎ながら落語ファンとしてちょっと誇らしくもありました。
 ちなみに、先日亡くなった高倉健さんの場合、死去が発表された当日に安倍総理が衆議院解散を決定したというニュースと重なってしまい、どこのテレビ局でも2番目以下の扱いでした。なによりも目立つことが好きで、なにかと自分が一番である事にこだわった談志。自分の死に世間が大騒ぎしてくれて、本人の望む通り「ザッツ・ア・プレンティー」な死を迎えられたのではないでしょうか。

 談志の落語はジャスに例えるなら「フリージャス」ではないでしょうか。突拍子もないフレーズが入ったり、突然にリズムが崩れたり、不自然に強弱を付けたりと、ともかく既存のものを壊す。それを熱烈に受け入れる談志ファンは多数いたものの、それを快く思わなかったアンチもまた多かった。実をいいますと、私も談志の落語の「崩し方」はちょっと自分の好みとは違うなぁと思うのです。談志の生の高座は独演会などで十数回みましたが「談志ファン」というよりも「落語ファン」として見ておきたいとの思いからでした。

 さて、落語家ゆかりの場所へ足を運ぶのにすっかり凝ってしまった私。今回は談志の墓参りに行こうと考えます。本人は生前、死後の散骨を希望していたとのことですが、一方であの有名な「立川雲黒斎家元勝手居士」という戒名を自身で付けたりする。結局、遺骨の一部は海に散骨され、また墓も立てることになります。墓などという狭苦しいものは談志好みではなかったかも知れませんが、家族や弟子、そしてファンが訪ねる慰霊のモニュメントはやはりあって良かったのでしょう。当初とあるお弟子さんの話では、あの戒名ゆえ、引き受けてくれるお寺さんがなかなか見つからないとのことでしたが、ネットで調べるといつの間にか、文京区の「浄心寺」という浄土宗の寺に墓は建てられた事が分かりました。正確にいうと浄心寺の経営する「本郷さくら霊園」という所に墓はありまして、ここは宗教不問の民間霊園であり、故に件の戒名も許されたものだと思われます。
 ということで命日からは一日遅れましたが、昨日墓参りに行ってきた次第です。地下鉄南北線「東大前」で下車、北へ徒歩5分ほどの所に浄心寺はありました。この辺は現在は向丘二丁目、かつては駒込蓬莱町と呼ばれていた所で、寺院の多い「駒込」の南端にあたります。談志の拠点の一つで彼自身も愛した根津の町にも近く、ここなら談志も文句は言わなかったのではないでしょうか。談志の眠る「本郷さくら霊園」は浄心寺の右側にあり、浄心寺の墓地とは柵で隔てられています。

浄心寺本郷さくら霊園


 霊園案内事務所の建物をくぐると、右側やや離れた場所に黒く輝くひときわ目立つ墓石があります。「もしや」と思って足を運ぶとやはりこれが談志の墓でした。

立川談志の墓(1)


 他の墓石と較べてもかなり大きめの黒御影石。まだピカピカとあって一際映えます。昨日が命日だったということもあって、隣の墓にはみ出すほどの量のお花が供えられています。墓石正面に刻まれた「立川談志」という文字、これは談志本人の手蹟ですね。墓の土台の紋は家紋ではなく、談志一門の定紋である「丸に左三階松」。墓石の左側には「立川雲黒斎家元勝手居士」という例の戒名が刻まれています。

立川談志の墓(2)・戒名
 

 5分ほど拝んだり写真を撮ったりしげしげ眺めたりし、墓前を離れます。先ほど通った案内事務所の前を通ると、壁に以下のような額が掲げてあるのに気付きました。

浄心寺・住職のお言葉


 「片棒」の落ちに対するツッコミなのか。この言葉を考えた方が落語の「片棒」を知っているならば面白いな、そんなことを考えながら霊園を離れ駅へと向かいます。

 ついでの情報で、談志は生前自宅が3軒ありましたが、そのうちの練馬の家をリフォームし、志らくが家族と共に移り住むとのことで、そのリフォーム工事の模様がテレビ朝日系で30日(日)午後7時58分から放送される予定です。あの談志の住んでいた家がどのように生まれ変わるのか。興味深いところです。

朝日放送のサイト
http://asahi.co.jp/beforeafter/

オリコンの芸能ニュースサイト
http://www.oricon.co.jp/news/2043688/full/

今回のラジオ寄席は三代目金馬の特集でした2014年11月24日 05:28

 昨日の「ラジオ寄席」は三代目三遊亭金馬の特集でした。お聴きになりましたでしょうか。
 1席目は「居酒屋」で、当方作成「落語はろー・データ編」リスト中のテイク3。三代目金馬特集の度にかかるお馴染みの音ですが、オハコ中のオハコの噺で、時季的にもピッタリなので放送する方もどうしても掛けたくなってしまうのでしょう(スポンサーとの兼ね合いで「酒」の噺になってしまうとか?)。1961.12.07に放送された音源で、かつてCBSソニーからLPが発売されていましたが、CDにはなっていないテイクです。放送タイムは24分48秒で、私の所持しているLP音源が27分20秒ですから2分30秒ほどのカットがあった模様。同じ音源が一昨年11月にも放送されており、この時は10分程のカットがありましたので、今回の放送はそれより完全に近い形でオンエアされました。
 そして2席目がお待ちかね「城木屋」。先日も記したよう、CDでもレコードでも発売されていない演目で、私もこの噺の音源が現存しているとは知りませんでした。今回録音された方は大切に保存しましょう。タイムは19分41秒。聴いた限りではカットがあったと思わせる箇所はなかったのですが、果たして完全版なのでしょうか。
 この噺は現在では歌丸さんがたまに演じますが、ネットで調べると他には圓窓さんが演ることがあるようです。圓窓さんは東海道五十三次の言い立てを府中(静岡)までではなく、京の三条大橋まで踏破するとか。是非聴いてみたいものです。
 さてこの噺、「府中」と「不忠者」をかける地口オチではありますが、「静岡」がかつて「府中」と呼ばれていたことを今では多くの人は知らないし(今回の放送では先代金馬はマクラの中で説明していた)、「不忠者」という言葉もまず使う事はありません。マクラ中の説明でくどくならぬようさり気なく仕込むか、それともオチそのものを変えてしまうか、これからの噺家さんの技量が問われるところです。

東京かわら版12月号より2014年11月25日 00:07

 今月のNHK「ラジオ深夜便 落語百選」は、25日深夜と26日深夜、25時(午前1時)からの放送ですね。25日は金馬の「孝行糖」、26日はたい平の「おかめ団子」。楽しみに放送を待ちましょう。

 さて、いつもだと「東京かわら版」の次月号が届くのは25日か26日なのですが、今月はなぜか21日に届きました。冊子の作製を早目に終わらせる事ができたのでしょうか。そのなかの「テレビ・ラジオ演芸番組放送予定」から、落語ファンとして気になる部分をピックアップします。有料放送、東京エリア以外の放送、落語以外の演芸などは原則除外します。

●大改造!劇的ビフォーアフター(テレビ朝日系 11月30日(日)19:58~) 先日の談志の墓参りの項でも話題にしましたが、なんと談志の練馬の家のリフォームの様子が見られます。ファンとしては「アフター」よりも、談志が住んでいた往時の姿の「ビフォー」の方に注目するかも。談志ファンでなくとも必見ですね。
●柳家権太楼の演芸図鑑 通常どおりの放送
●日本の話芸 7日、28日は放送休止
●浅草お茶の間寄席(千葉テレビ) 28日は放送休止 1月1日12:00~12:55にスペシャル番組を放送する予定
●落語研究会(TBS 地上波) 20日深夜(21日早朝)4:15~5:15 内容は柳家小満ん「穴どろ」、林家正蔵「まめだ」の2席
●落語小僧(BSフジ) 14日12:00~12:55 桃月庵白酒。1月1日12:00~13:55にスペシャル番組放送予定。浅草お茶の間寄席SPとかぶってしまう・・・。
●柳家喬太郎のようこそ芸賓館(BS11) 通常どおりの放送
●笑点特大号(BS日テレ) 31日は放送休止
●落語研究会(BS-TBS) 19日深夜(20日早朝)3:00~4:00 立川生志「寝床」 20日深夜(21日早朝)3:00~5:00 柳家小里ん「お直し」、柳家小満ん「悋気の火の玉」、春風亭一朝「包丁」
●桂雀々の大判小判がじゃくじゃく(BS12) 31日20:00~21:55に年末特番で雀々師の「地獄八景亡者戯2014」を放送
●落語研究会(CS TBSチャンネル1 有料放送) 6日7:00~9:00 立川生志「寝床」「あたま山」、古今亭菊之丞「夢金」。その他13、20、27日に以前放送分の再放送あり
●志の輔ラジオ落語DEデート(文化放送) 通常どおり放送
●ラジオ寄席(TBSラジオ)11月30日、12月7日は秋田県民会館での公開録音。14日の放送は休止、21、28日は「懐かしの名人芸」の放送だと思われます。
●ラジオ深夜便「落語百選」(NHKラジオ)24日深夜と25日深夜 24日 春風亭一之輔「めがね泥」、立川談修「身投げ屋」、25日 柳家権太楼「試し酒」
●関西発ラジオ深夜便「上方落語を楽しむ」(NHKラジオ) 19日深夜 林家染二「ちしゃ医者」
●真打ち競演(NHKラジオ)通常どおり放送

 テレビ・ラジオでの落語の番組ってあまり無いようですがこうやって記してみると結構な分量があります。楽しみに待ちましょう。