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CDブック「人形町末広・圓生独演会」発売2015年10月21日 05:53

 待ちに待ったCDブック「人形町末広・圓生独演会」が発売されました。アマゾンでみると現在「通常2~4週間以内に発送します」と表示され、すぐには届かない状態のようです。売れているからなのでしょうか? また先日の「芸協らくごまつり」でも小学館のブースがありこのCDブックを宣伝していまして、すこしでも多く売ろうと意気込んでいるようです。今回のCDブックについて気付いたことをいくつか挙げてみたいと思います。

(1)「ちきり伊勢屋(下)」サライ9月号付録CDとの違い

 小学館・サライ9月号を購入された方で気になるのは、この号の付録CDと今回のCDブック中の音源との違いではないでしょうか。CDブック解説書によると、サライ付録CDの方は、より多くの一般の人に聴いてもらえるよう、言い違い部分などを修正した形で収録してある。一方CDブックの方はノーカット無修正で収録してあるとの事。そこまでこだわるのは相当のマニアでしょう。

(2)徹底的なオリジナル音源の重視
 (1)と関係しますが、今回のCDブックは圓生師のお孫さんが保管していたマスターテープからそのままデジタル化したもので、言い間違いや咳払い、「エー」「アー」などの間延びした部分もいっさい手を加えずそのまま収録したとのこと。また出囃子が欠落している音源について、過去に発売されていたカセットテープでは別継で付け加えていたものの、今回はそういう加工もしていないとのこと。もちろんこれらは徹底したオリジナル重視で知られるマスタリングの草柳氏の意図によるものです。
 また、オリジナル重視とは言っても当然のことながら、マスターテープで速度に狂いがあるものはピッチを修正し、レベルオーバーで音が歪んでしまっている部分、音が飛んでしまっている部分なども適宜調整・修正を加えています。

(3)音質について

 まだ、全部を聴いたわけではありませんが、昭和30年代に素人がプライベートで録音したものにしては音質は上々ではないでしょうか。もちろん、草柳氏のマスタリングの功績もありましょうが。
 何本かをざっと聴いてみましたが、「サー」というドルビーが付いてなかった頃のカセットテープのようなノイズが残っている音源もあります。現在のデジタル技術を使えば、機械的な処理を施すことによりこれを消す事はできるのですが、反響音までが消えてしまったり、モコモコした不自然な音になってしまうことがあります。やはりこれらを嫌った草柳氏の意図で、このような機械的な処理は極力最小限にしたものと思われます。

(4)「松葉屋瀬川」について
 「松葉屋瀬川」について、収録時間は84分でCDの正規規格である最長79分を超えてしまっています。このためやむなく、2枚のCDに分け、前部分は約9分、後部分は約75分と分割して収録されています。今時PCを操る人ならCDは直接プレーヤーで聴かず、リッピングしてmp3などの音声ファイルにしてパソコンやi-podで聴く人が多いでしょう。それならばPC上で音声ファイルの前後をつなげる事が可能なのですが、この際注意することは、CDの前部分と後部分で音が2~3秒分重複している事です。ですので単純に2音源を結合するのではなく、サウンド・エディターソフトを使って重複する部分を慎重にカットする必要があります。もちろんそこまでこだわらないという方もいるでしょうが。

 なお、今回CDブックの広告で「全23席初CD化」と銘打っていますが、「緑林門松竹(またかのお関)」と「塩原多助一代記(青馬の別れ)」については、最初LPで発売され、その後(2001年?)ソニー・ミュージックより通販の15枚組セット中のCDとして発売されています。まあ、よほどのマニアでなければ気にしないことでしょうけれど。