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暴力先生2013年02月05日 11:53

 一昨日にいろいろと面倒のあった事案が終了し、今は時間的にも精神的にもちょっと余裕があります。「落語はろー」の方で滞っている事項が多いのですが、この余裕のあるうちに一気に片づけてしまおうかと思っています。いや、寝るだけで時間を費やしてしまうかも。
 このブログには努めて落語関係の事しか書かないことにしているのですが、最近報道されている「体罰」問題を見聞きするにつけ、どうしても記したくなりました。興味の無い方は読み飛ばしてください。
 今から35年ほど前、私が通っていたのは首都圏郊外の住宅地の中にある小学校で1学年6クラスの規模でした。私は6年生の時には1組でしたが、3組の担任というのが「暴力をふるう先生」でした。子供の頃というものは、素直に「先生というのは偉い存在だ」「先生のいう事には従うのが当たり前だ」と思うのが普通で、その「暴力をふるう先生」についても時折うわさ話を聞きながら「怖い先生だ」というくらいの認識くらいしかありませんでした。
 組が違うのでその先生と接することはなかったのですが、夏のある日、水泳で1組から3組が合同で授業を行う事になり、その暴力先生の授業を受ける機会が巡ってきたのです。プールで何メートルだったか覚えていませんが目標とするラインまで何人かの生徒を一斉に泳がせたのですが、そのうちの1人が目標点まで到達できず立ち上がってしまいました。「何やってんだ!」その暴力先生は水をすくう大きなヒシャクをその立ち上がった生徒に向かって投げつけました。しかし狙いは外れ、泳いでいた別の女子生徒の頭に勢いよく、そのヒシャクがぶつかってしまったのです。その生徒は立ち上がって泣き出しました。私はその時の暴力先生の顔を見ましたが、もちろん謝るなどと言う事はなく困惑した表情をチラチラと見せながらも「何か俺が悪い事をしたか」と開き直っているように見えました。
 合同の授業が終わり、皆がプールから引き上げる時、1組の女性の先生(私の担任)と2組の男性の先生が「××先生ひどすぎるよね」とボッソと話しているのが耳に入りました。私が教師というものに深く失望したのはこの時が初めてだった思います。明らかに過ちを犯しながらそれを謝罪しない暴力先生。さらにその暴力先生を「ひどい」と思いながら、忠告や批判をできず陰口をたたくだけの別の先生。
 秋だったと思います。大変な事が起こりました。その暴力先生の小学生の息子が自宅近くで遊んでいる途中、クルマにひかれて死ぬという事故が起こったのです。暴力先生は声も出せなくなるほど嘆き悲しんでいるという話を聞いたのですが、私にはまったくこの暴力先生に同情する気など起きませんでした。亡くなった息子さんには大変申し訳ない言い方なのですが、その暴力先生にとっては「因果応報」(もちろん小学生でしたからそんな言葉は知らなかったでしょうが)だとさえ思えたのです。
 私は別のクラスでしたから暴力先生について傍から噂話として聞くくらいでしたが、毎日クラスで暴力先生に接していた3組の人達にとっては、あの道理の無い暴力に無言で耐えていた日々をどう思っているのか、今どう思い返すのか、そして暴力先生の息子の死をどう感じたのか。昨今あふれる「体罰」報道を見て、そんな事をふと思います。