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集める・並べるということ2012年09月18日 03:37

私の父は13年前に亡くなっています。真面目な人間で賭け事はせず、酒もたしなみ程度、仕事はバリバリこなす人なのに仕事以外の人付き合いはほとんどなく、休日は家や図書館に籠って調べ事や書き事をするのが常でした。そんな父が凝ったのが「コインの収集」で私が子供の頃でした。コイン集めといってもコインショップで売っている古銭や珍しい貨幣を集めるのではなく、10円玉や100円玉などごく普通に使用されている硬貨を集めるのです。集めた硬貨は刻印されている発行年ごとに分けて小ぶりの封筒のなかに入れ、さらにその封筒を菓子の折箱の中にきれいに並べて大切に保管していました。いざという時の財産的価値がある訳でもなく、当時子供心に「そんなもの集めてどうするのだろう」と不思議に思っていました。やはり私が小学校の頃だったか、父が一時的に凝ったのが国鉄の駅名をキレイに書き並べてリストにする事。ワープロやパソコンが家庭に普及する前の時代で、さらにコピーというものが一般化してなかった時代、会社の複写機(コピーすることを「ゼロックスを焼く」と言っていた)で、リストのベースとなる罫線を紙に印刷し、家で暇な時、交通公社の時刻表を見ながら、北海道から九州まで路線別に、駅名、駅名かな、キロ程などを順番に書き写してゆきます。父は真面目な性格を映すが如く几帳面で綺麗な字を書く人で、丁寧に書き並べられたそのリストは良くできたお習字を見る如く美的にも優れた物でした。
 そんな父を見ながら育ったせいか、殊、趣味の面では私も似たのだと思います。集めてそれを綺麗に並べそれをリスト化するのが趣味。趣味の対象も、私はコイン集めこそはしませんでしたが、鉄道、机上旅行、歴史、パソコン、天文など。父は若いころ落語を聴くのが趣味のひとつでした。私が大学生の頃に落語にはまる姿を見て、父は「俺にやたらに似やがって」と自嘲気味に言っていたことを思い出します。晩年は確執があってほとんど父とは話さなくなりました。父は在職中に亡くなりましたが、生存していれば仕事を引退し悠々自適・晴耕雨読の生活で趣味に時間を費やす生活をしていたでしょう。今、生きていたら「落語はろー」のリスト作りに父も協力してくれていたかも知れません。