【落語はろー・データ編】公開中(ここをクリック)

古今亭志ん生、八代目桂文楽、三遊亭圓生、古今亭志ん朝など過去の名人落語家の残された落語音源データを公開しています。

 
【演芸とりどり掲示板】(http://koudanroom.bbs.fc2.com/)

 

オーディブルで五代目柳家小さん師の音源配信2016年05月06日 00:56

 この項を記す前に、まず「オーディブル」とは何なのか説明しなければなりません。「耳で本を楽しむ」と銘打って、文学・ビジネス書など数千タイトルが月額1,500円で無制限に聴けるサービスだとのこと。パソコンでは聴けず、iPhoneまたはアンドロイドのスマフォまたはタブレットが必要で、支払いにはクレジットカードが必須と、かなり利用者層を絞っているのが特徴と言えましょう。アメリカ・イギリス・フランス・ドイツなどに続き、昨年からは日本でもサービスを開始しました。アマゾンの関連会社であり、アマゾンのサイトから書籍などを商品検索すると、該当があれば「オーディブル版」として検索結果にも反映されます。
 特筆すべき事として、mp3等の音声ファイルをダウンロードして後は購入者が自由な方法で聴くという従来のスタイルとは異なる点です。ダウンロードした音声ファイルを聴くには専用のアプリが必要で、サービスを退会して毎月の支払いを止めたのなら、もうその音声ファイルは聴くことが出来ません。音声ファイルという「物」を購入するではなく、対価を支払った期間のみ聴く「権利」が得られるという事なのだと思います。

 で、前置きが長くなりましたが「落語はろー」のサイトをご覧の方から情報を頂きまして、このオーディブルのサービスの中に落語音源も含まれているのです。先代金原亭馬生師などコロムビアからCD発売されている音源の他、注目すべきものとして、東横落語会で収録された先代柳家小さん師の音源があります。

https://www.amazon.co.jp/s/ref=s9_acss_bw_ct_PBPBcate_ct5_a2?__mk_ja_JP=%83%4A%83%5E%83%4A%83%69&rh=i:stripbooks,n:3479195051&sort=relevancerank&field-author=%96%F6%89%C6%20%8F%AC%82%B3%82%F1&ie=UTF8&pf_rd_m=AN1VRQENFRJN5&pf_rd_s=merchandised-search-5&pf_rd_r=AE5RNA0YWYT65DYX8SGR&pf_rd_t=101&pf_rd_p=315447249&pf_rd_i=3479195051

 東横落語会での先代小さん師の音源として全部で69席。内、何故か六代目柳家つば女口演の「付き馬」が1席混じっています。
 30年間続いた東横落語会で先代小さん師は計296回の口演をしており、そのうちこれまで46席の音源がキング・小学館・CBSソニーなどからCD・LPなどで発売されています。「落語はろー・データ編」なんというサイトを開いている身として、今回オーディブルに収録されている音源も精査しないといけません。まだ一部のみ聴いた段階ですが、68席のうち50席程はこれまでCDなどで発売されていなかった新音源のようです。
 さらに東横落語会の第何回の音源なのか記載のないものも多く、これらについてはいつ録音されたものなのか確定または推定する作業も必要になります。演じた後で追い出し、或いは仲入り太鼓が鳴っているとか、次の演者の出囃子だとかが手掛かりのひとつになります。マクラで触れる時候、世情、他の演者の話題なども重要な決め手になるのですが、残念ながら先代小さん師についてはこれらを語る事は少ないのです。なんとか早い機会にデータをなるべくはっきりさせた形でリストを更新したいと思います。

 このコンテンツを供しているのは「小学館ミュージック&デジタルエンタテイメント」という会社。もちろん出版社の小学館の関連企業でしょう。ネットの台頭で書籍、新聞、CDなど従来型のメディアは大きく売り上げを減らしていますが、このネット時代に合わせてどういうビジネス・モデルが確立できるか試行錯誤している段階だと思います。落語に関しても、有料または無料、映像または音声、ダウンロードまたはストリーミングと、今まで様々な配信サービスが存在しましたが、残念ながら営利の商売として成立はしなかったようでほとんどのサービスは消滅しています。この「オーディブル」というサービスが、アマゾンというネット産業の巨人をバックに事業として成立するのかどうか、そこに落語というコンテンツが食い込めるのかどうか、注目したいと思います。