【落語はろー・データ編】公開中(ここをクリック)

古今亭志ん生、八代目桂文楽、三遊亭圓生、古今亭志ん朝など過去の名人落語家の残された落語音源データを公開しています。

 
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NHKラジオ深夜便「話芸100選」のコーナーが始まる2016年04月04日 19:20

 昨日4月3日深夜(日付は4月4日)より、NHKラジオ深夜便で午前1時から「話芸100選」のコーナーが始まりました。これまで7年間続いた「落語100選」に代わってのコーナーで古典・新作落語のほか講談や漫才も放送する予定だとか。第1,2日曜日の深夜の放送になります。なんとか毎週放送にしてもらいたいものです。皆さんもNHKに要望をどんどん寄せましょう。
 さて、4月3日深夜の第一回の放送で、八代目桂文楽の「鰻の幇間」が放送されました。1952(昭和27)年6月20日の音源という事で、またデータの誤りかと思いきや、どうも本当らしい。磁気のオープンリールのテープが使われる前の録音ではないでしょうか。もちろん私の所持していなかった初音源です。名人八代目桂文楽が60歳になる以前の録音という事で、いままでに聴いた師の録音より艶があり伸び伸びした声のように思えます。残念なことに最初の部分が欠落していて、幇間が鰻屋の座敷に上がる箇所からの放送となりました。タイムは13分38秒でした。他の「鰻の幇間」は大体20分くらいの長さなので、3分の2くらいに短縮されてしまったようです。当時の録音技術による制約だったのかもしれません。ともかくも、雑音も多いものの貴重な録音が聴けました。これからもこのコーナーに期待したいと思います。

<追記 2016-4-8>
 今回の音源は、1974年、コロムビアからLP発売されていたことが分かりました。
<追記終わり>

江戸家猫八師匠亡くなる2016年04月05日 22:41

 動物ものまねでお馴染みの四代目江戸家猫八師匠が3月21日にお亡くなりになっていたことが先日分かりました。まだ66歳というお年でした。師の高座は私も寄席で何十回も見たと思います。寄席芸人らしからぬ清潔でスマートなイメージを持たせ、寄席の高座に見事な彩りを加えてくれました。
 「小猫」の時代が長かったので、まだその記憶が強い方も多いと思います。と思っていたら時の経つのは速いもので、息子さんの二代目の小猫さんも今や父親から受け継いだ芸で寄席の客席を沸かせています。猫八師匠が亡くなったことは返す返す残念ですが、立派な跡継ぎに恵まれ安心して後を任せられたのではないでしょうか。
 猫八・小猫師匠の親子は3月8日のテレビ朝日「徹子の部屋」に出演なさっています。その時の画像を見ながらありし日の師匠を偲んでみたいと思います。(以下の画像はクリックすると大きな写真で見られます)

江戸家猫八・徹子の部屋01


江戸家猫八・徹子の部屋02


江戸家猫八・徹子の部屋03

↑親子でお得意の様々な鳥の鳴き声の物まねを披露

江戸家猫八・徹子の部屋04

↑これはカエルの鳴き声の物まね

江戸家猫八・徹子の部屋05

↑左は父親の三代目猫八師匠。親子でドイツの動物園で

江戸家猫八・徹子の部屋06

↑親子で憧れのアフリカの草原へ。背後は「ヌー」という動物の大群

 四代目江戸家猫八師匠のご冥福をお祈りいたします。

10日深夜のNHKラジオ深夜便で先代桂文楽師「富久」放送2016年04月09日 03:36

 NHK「ラジオ深夜便」10日深夜1時(日付は11日)からの「話芸100選」では、先週に続き先代桂文楽師の口演で「富久」が放送されます。ラジオ深夜便のサイトでは「1956年OA」と記載されており、私の現在所持している音源では、NHKで1956年に放送された「富久」の音源はありません。新音源の可能性も大いにありますので聞き逃せません。当日は万全の態勢でエアチェックをしたいと思います。なにか大きなニュースが入って放送中止になったりしないよう祈りましょう。
 なお、3日深夜に同番組で放送された「鰻の幇間」ですが、調べなおしたところ、この音源は1974年にコロムビアからLPレコードとして発売されていたことが分かりました。今回の放送と同様途中部分からの収録です。今まで正確なデータが分かっていなかったもので、今回、1952年6月20日放送のNHKの音源であることが初めてはっきりしました。今回の放送ではLPレコード音源を流したのではなく、NHKの所持していたオリジナル音源を再生し放送したものだと思われます。私がこれまで所持していなかった音源が入手できたのは嬉しいのですが、完全な初出音源ではなかったというのは少しガッカリです。

NHKラジオ深夜便、先代桂文楽「富久」放送される2016年04月12日 00:11

 すでに2ちゃんねるの伝統芸能板でもかなりの話題になっていますが、今回のNHKラジオ深夜便・話芸100選のコーナーでの先代桂文楽「富久」の放送は、「これはまずいのではないですか?」と言わざるを得ない内容でした。しかも1回の放送で2ヵ所も重大な「まずい点」があるという、悪いアーモンドグリコのような。

 第1点は地震速報の件。よりにもよって、サゲの部分数秒前から地震速報が入ったとのこと。これは東京エリア限定のようでして、実は私は「らじるらじる」の名古屋のFM放送で録音していたのでこのような速報は入りませんでした。当該の地震では茨城県内の1ヶ所で震度2を観測したのが最大だったとのこと。そんな地震速報が入ったあとでもシレっと放送を続ける。番組が中断してしまった事に関して、真面目に落語を聴いていたものへ申し訳ないという気持ちは無いのでしょうか。
 かつてこの番組で「演芸特選」というコーナーがあった頃、やはり落語の放送途中でニュース速報が入ったことがありまして、速報が終わった後アナウンサーの断りがあり、中断した直前の部分に巻き戻して落語の放送が再開されたことがありました。そのような配慮も過去のものなのでしょうか。もちろん公共放送として、一刻も早く伝えるべき情報は番組を中断してでも伝えなければならないのでしょうが、例えば落語とかラジオドラマとか筋立てを聴かなければ分からないようなものに関しては、ニュース速報が入った後でも聴取者のためにフォローできるような工夫が必要ではないでしょうか。

 第2点は、すでに2ちゃんで指摘されていますが、今回の音源はNHKで放送された音源ではありません。「落語はろー・データ編」桂文楽「富久」のテイク2で1956年12月25日、ラジオ東京(現在のTBS)で放送され、CBSソニーからLPレコードが、小学館からはCDが発売されています。
 放送によれば今回の音源は、昭和31年頃にNHKラジオで放送されたものとして聴取者から提供されたとのこと。TBS音源をNHK音源だと間違えたのは音源提供者の記憶違いによるものでしょうか。NHKの担当者もそれを確かめる術がなかったのでしょうね(「落語はろー」のサイトを宣伝したいところだが)。
 そもそも先代文楽師は昭和28年から43年までTBSの専属で、wikiによれば他の民放局のみならずNHKでも落語は演じなかったとのことですから(ただし東京落語会には出演しており、その音源の一部は現在CD発売されている)、昭和31年にNHKでオンエアされた音源というのは普通に考えて存在しないのですね。
 ここでコレクターなら誰しもが思い出しでしまうのは「ラジオ名人寄席」での騒動(いわゆる「玉置事件」)ですね。NHKでのこの騒動の影響は大きく、以後過去の落語の音源をオンエアする機会はほぼなくなり、やっと昨年あたりから少しずつではありますが復活し始めましたが、放送の冒頭に「過去にNHKが収録・放送した」と断りを入れているほどです。それがまたもやこのように他局で放送された音源を「NHKで放送された音源」として流してしまった。
 「玉置事件」の場合、10年以上の長期間にわたり無断で他局の音源を使い続けていた(玉置氏本人は故意であることを否定していたが)ことで大きな問題になりましたが、今回の場合はたとえ表沙汰になったとしても1度きりのことであり、音源提供者の示した情報が間違っていたのが原因(おそらく)という単純なミスであり、「玉置事件」のような大騒ぎにはならないでしょう。
 まあ、今回のこのミスがNHKの耳に入ったとしても、謝罪の放送が1回されTBSには音源使用料を支払うという程度で事は済み、このコーナー自体が打ち切りになるようなことは無いと思います。
 第三者から提供してもらった音源の情報が果たして正しいものなのか、特に落語は同じ演者が同じ演目をあちこちの局で演じますので、いかにチェックし今回のようなミスを防ぐかが課題になると思います。地震速報の件にしろ他局音源使用の件にしろ、NHKには「視聴者の立場に立って」「しっかりしろよ」と言いたいところです。

「志ん朝 東宝」のCDセットが発売されました2016年04月13日 23:57

 本日、ソニー・ミュージックより「志ん朝 東宝」CDセットが発売され、我が家にも届きました。アマゾンで購入する方も多いでしょうが、アマゾンは日本で法人税を払っていないという話があるので、私は落語CDについてなるべく西新宿にあるミュージック・テイトが運営する通販サイト「落語くらぶ」で購入するようにしています。ソニー・ミュージックがこのCDセットの発売を発表したのは半年前の昨年10月のこと。以後宣伝にも力を入れてきて、まさに満を持しての発売と言えましょう。
 いつものようにA4サイズのものがデンと届くのかと思いきや箱は小さい。A4サイズの半分ほどの大きさでこれまでのCDセットに比べ随分とコンパクトです。解説の冊子も今までのものに比べかなり簡素です。私としては置くスペースの問題もありますしこれで十分、というかこれまでのものが無駄に大きかったと思います。
 肝心の収録内容ですが、東宝演芸場で収録したものが20席。日比谷芸術座で収録したものが15席。同じ「東宝名人会」という名を使っていても第904回(1980年8月31日)までの東宝演芸場での興行は毎日開かれる寄席の定席、905回(1980年10月16日)以降の日比谷芸術座での興行は月1回開催されるホール落語で、形態はまったく違います。ホール落語での志ん朝師の音源はすでに多く発売されていますから、コレクターとしてより欲しいのはやはり寄席の定席である東宝演芸場での音源ではないでしょうか。その時勝負の寄席よりも事前にネタ出しして演じるホール落語の方が、一般に完成度は高いし尺も長いでしょうが、コレクター度が高まると不完全で短いものの方を喜んでしまったりする。マニアなんてのは変な生き物です。
 志ん朝師の生前は、師のCDと言えばソニーの三百人劇場で収録した20枚くらいでしたが、この数年CD・DVDセットが毎年のように発売されて随分と数も増えました。やはり志ん朝のCD・DVDを出せば売れるのでメーカーとしても埋もれている音源・映像の発掘・商品化に躍起になるのでしょう。亡くなってから15年。師のCD・DVDがこれからも発売され続けていくことを願います。

志ん朝 東宝01


↑化粧箱はA4の半分ほどのサイズで今までのものと比べるとコンパクト。

志ん朝 東宝02


↑CDは2枚ずつ重なる形で収納されている。

志ん朝 東宝03


↑解説書。全40ページ。これもコンパクト。

志ん朝 東宝04


↑先着購入特典の「ネタ帳」

志ん朝 東宝05


↑「落語くらぶ」で購入すると、来福レーベル特製のこのような志ん朝師のクリアファイルが。ちょっと得した気分。

NHKラジオ深夜便「話芸100選」の件・続き2016年04月14日 01:33

 4月から始まったNHKラジオ深夜便の新コーナー「話芸100選」は、放送第2回目にして他局音源を掛けてしまうという(しかもサゲ間際の地震速報というオマケまでついて)波瀾の幕開けとなりました。果たしてNHKはこの失態に気付くことはあるのか。気付いたとしてその後どう問題を処理するのか。そしてこのコーナーはこれからどうなるのか。

 ラジオ深夜便の放送開始は1992年で、開始当初から「演芸特選」というコーナーが毎週あり、過去の名人の落語など演芸の音源を楽しむことができました。このコーナーがなくなったのは、やはり2008年に発覚した「玉置事件」のあおりだと聞いています。他局の音源でも使用の許可を取って著作権関係をクリアにし、幾ばくかの使用料を払えば放送しても何の問題もありません。現に文化放送の立川志の輔師の番組では他局音源を頻繁に使用していますが、当然著作権関係について適正に処理していると思います。
 「ラジオ名人寄席」で無断使用された音源はTBSやニッポン放送の音源も多かったのですが、玉置氏はTBSテレビでは「ロッテ歌のアルバム」、ニッポン放送では「玉置宏の笑顔でこんにちは」という人気かつ長寿番組を担当していました。TBSやニッポン放送に深いコネクションがある玉置氏がなぜそのような手続きを取ってくれなかったのか。玉置氏は民放ラジオ局創設以来、長い間放送の世界に身を置いていた方ですから、「ラジオ名人寄席」での著作権うんぬんについても、何事もおおらか(悪く言えば「ルーズ」)だった昔の感覚で考えていたのでしょうか。この事件のため、今に至るまでNHKで過去の名人の落語音源をほとんど聞くことができない状態が続いているのですから残念でなりません。

 さて「話芸100選」のコーナーは、私はてっきり過去の名人の落語(講談や漫才など他の演芸も含む)を毎回放送してくれるものだと思っていたのですが、実は違うようです。「話芸100選」で検索していて、以下のようなブログ記事を発見しました。

http://ameblo.jp/n700xkgf/entry-12145584205.html

 テレビ・ラジオの公開放送・収録に行くことが趣味の方のブログで、4月1日・2日に「話芸100選」の公開収録がNHK放送センターであったとのこと。落語・講談・漫才・漫談が収録されたそうです。これらも当然(全部かどうかは分からないが)放送されるでしょうから、ということは、過去の名人の音源が聞けるのは月2回の放送の内でも一部だけ、年に数回程度なのでは危惧してしまいます(もちろん、現在の噺家さんの噺を聞きたいという方もいるでしょうけど)。
 NHKにとって過去の落語の音源を流すことがそれほど「恐い」事なのか。限りあるNHKの人材の中で過去の落語音源を鑑定できるほどのマニアックな人もなかなかいないでしょうけど、例えば保田武宏さんのような落語音源に精通した方に音源選定のアドバイザーを頼むことはできないのか(保田さんは読売の人間だからダメだとか)。NHKの演芸番組に対するやる気のなさの話題ばかりが続き、記していて気が重くなります。

17(日)笑点で真打昇進披露口上2016年04月15日 03:15

 今春、落語協会では5人、落語芸術協会からは3人の新真打が誕生します。そのうちの一人、講談師の神田きらりさんブログによると、日本テレビ「笑点」で今度の日曜の17日に真打昇進披露口上が放映されるとのことです。「東京かわら版」では24日の放送となっていますけれど、1週間繰り上がったようです。
 落語のマニア度が高まる程、「笑点」という番組を嫌う傾向があるように思うのですが、私は好きで毎週録画して見ています(ただし前半の演芸コーナーは見ない事も多い)。人気番組での晴れ舞台、新真打の門出、番組を見て応援したいものです。

「落語はろー・データ編」更新しました2016年04月23日 06:35

 「落語はろー・データ編」サイトを更新しました。

今http://www.asahi-net.or.jp/~ee4y-nsn/rakugodata/00_menu.htm

 今回の更新のメインは13日に発売された「志ん朝 東宝」CDセットのデータ追加、昨年10月に発売された「人形町末広 圓生独演会」CDブックのデータ追加の2点です。特に後者はデータ反映に半年以上もかかってしまいました。過去にアポロンなどから発売されていた音源とカット部分を比較しようと思っていたのですが大変に手間のかかる作業ですし、過去に発売されていた物のカット箇所を調べる事にあまり意味は無いので、結局この件は保留となりました。
 その他サイトをご覧の方から頂いた貴重な音源・情報、TBSラジオ寄席等放送でかかったものなど合計17席分の新音源データも反映させました。今回更新したのは圓生、八代目文楽、志ん生、五代目小さん、志ん朝、馬生、以上です。

 「志ん朝 東宝」のデータをまとめていて2点興味深いことに気付きました。
 まず「喋り出し」の件。今回発売された音源35席のうち、東宝演芸場で演じたものが20席、日比谷芸術座で演じたのが15席。このうち前者の東宝演芸場での音源の場合、喋り出しが「エー、お運びで有り難く御礼申し上げます」で始まるものが全20席のうちの18席、実に90%もの割合になるのです。ここまでキレイに喋り出しがいつも決まっているというのは、志ん朝師のような機転の利く器用なタイプの噺家としては意外なような気もします。
 次に「甲府い」という噺で、発売されている音源は今まで1種のみ、1981年4月14日に「志ん朝七夜」三百人劇場で収録された物がソニーから発売されていただけでした。それが今回この「志ん朝 東宝」で1976年1月16日に東宝演芸場で収録されたものが発売されました。調べてみるとこの「1976年1月16日」という日にイイノホールでの東京落語会(199)でも「甲府い」を掛けているのです。ホール落語では当然ネタ出しをしていますからその練習で東宝演芸場という寄席で口慣らしに演じたのでしょうか。「甲府い」は落語研究会、東横落語会では掛けておらず、なぜか紀伊國屋寄席では1986年、1988年と近い時期に2度演じています。滅多に演じない噺だったのでしょうか、それとも寄席向きの噺でホール落語で演じる機会は少なかったのでしょうか。
 データの取りまとめに時間がかかってしまいました。これから電車の中、クルマの中などでゆっくり聴くことにしましょう。