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NHK「ラジオ深夜便」の志ん生「稽古屋」を調べる2015年11月05日 22:08

 遅くなりましたが、10月30日にNHKラジオ深夜便「名人芸を味わう」で放送された、志ん生「稽古屋」について調べてみました。
 番組表のサイトでは「1954/5/18 OA」と記されており、今までコレクターが収集した音源にこの日に放送されたものはありません。「これは新音源の可能性もあるのか」と淡い期待をしていたのですが、やはり志ん生に関しては新規のものはなかなかに発掘されることはない。結果は、今までにも良く知られているNHK音源で、「志ん生全席落語事典」「落語はろー・データ編」中のテイク2。ユニバーサル(旧ポリドール)、キング、NHK志ん生全集などから広くCD発売されている音源です。
 放送年月日について、キング、NHKの志ん生全集のCDではいづれも「1959年5月7日放送」と記されています。一方、今回の放送では「1959年10月1日放送」とアナウンスされました。番組表サイトの「1954/5/18 OA」は明らかに誤りだとして「1959年5月7日」「1959年10月1日」いづれが正しいのでしょう。ひょっとして後者は再放送された日でしょうか。
 また、ノーカット音源とされるキングCDの音と聴き比べたところ、今回放送の音源にもカットはない模様です。放送タイムはキングCDで21分15秒、今回放送分は20分55秒。ピッチの差はほとんどなく、出囃子部分の長さの違いがあります。
 問題は音質ですが、今回放送分は「プツ、プツ」というノイズが多数ありました。一方キングCD、NHK志ん生全集にはこのようなノイズはほとんどありません。CD音源でなく、NHKに残されたテープから起こして今回の放送に流したのでしょうが、結果ノイズが多く入ってしまった。それならばCD音源をそのまま流せばよかったのにと思います。
 NHKにはもっと落語音源に詳しい人材がないのだろうか、そんなことを思わせる今回の放送でした。