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大須演芸場閉場2014年02月03日 22:37

 名古屋の大須演芸場が閉鎖されました。1965年に開場、1973年から演芸界の名物男・足立秀夫氏が席亭となり、以来、お客が極端に少ない事で有名な寄席であったことは皆さんご存知でしょう。なんども危機に瀕しながらその度に生き延び「奇跡の寄席」とも呼ばれ、1990年から1999年の間毎年一回志ん朝師が出演しこの日本一客が少ない演芸場を救おうと男気を見せたのも語り草です。青息吐息なんとか生き延びてきたこの演芸場も今回はいよいよ裁判所の明け渡し命令が出て、どうしようもない所まできてこの度の閉場となりました。
 お恥ずかしながら、私はこの大須演芸場に一度しか行った事がありません。十数年前だったと思います。入り口で木戸銭を払うと「おお、今日は客が多いな」と言うのですが、お客は7~8人ほどしかいませんでした。大須くるみ、柳家小三亀松、名古屋のバタヤン、そして今は東京に戻っている三遊亭歌笑師が主任で出演していた事を覚えています。
 今回の閉場ですが席亭側が建物の家賃を滞納し続けた事が原因です。本来だと寄席興業は1月末日までということだったのですが、1月31日は金曜日でした。土・日曜日は公機関は休みですので建物差し押さえの強制執行は今日2月3日(月曜日)の午後1時半ということになったのですが、何を思ったのか席亭は「強制執行ギリギリまで寄席を開ける」と言い出し、2月1日と2日そして今日3日の午後1時半に強制執行官が訪れる時間まで興業を行うことになったのです。木戸銭は取らず無料。ただし入場者に投げ銭をお願いするいうスタイルで集めたお金は出演者全員で山分けするとの事。ちなみに「立つ鳥跡を濁す」が席亭の最近の口癖だとか。
 このように極端にお客が少ない中、席亭は建物の借り賃の支払いよりも、芸人たちの出演料の支払いを優先していたそうです。と聴くとなんだか美談に聞こえますが、貸している側からすればたまったものじゃありません。「家賃を払わなくて何が悪い!」。不思議と清々しさまで感じる「開き直り」はなんだか落語国の住人の話のようであります。
 落語・寄席・演芸なんてのは常識とか安定とか合理性とかをひっくり返した様な所に存在したものでした。そんなアウトサイダーを愛してきた昭和の「いかがわしい」文化の灯がまた一つ消えたのだと思います。

【おことわり】席亭が借りているのは建物だけとの事で、一部文面を修正しました(2月5日)

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