【落語はろー・データ編】公開中(ここをクリック)

古今亭志ん生、八代目桂文楽、三遊亭圓生、古今亭志ん朝など過去の名人落語家の残された落語音源データを公開しています。

 
【演芸とりどり掲示板】(http://koudanroom.bbs.fc2.com/)

 

五代目柳家小さんの墓参りにゆく2015年05月18日 18:18

 5月16日は五代目柳家小さん師の命日でした。亡くなったのは2002年。私は寄席やホール落語で師の生の高座は何十回と見たと思います。新宿紀伊國屋ホールでは最前列の真ん中の席で高座を見る機会があり、リアルに師のツバを浴びることが出来たのは良い思い出です。現在に続く「柳家」の滑稽噺の完成形を作りあげた先代小さん師。亡くなって十数年経ってもCDやDVDで師の高座を楽しむことが容易にできるとは、世の進歩に感謝したいところです。
 さて、墓詣りですが、wikipediaの師のページの「エピソード」の項を見ると、墓所を「南池袋の法明寺」と記してある。これは3代目柳家小さんの墓所です。どうしてこのような間違いが書かれてしまうのでしょうか。困ったものです。ちなみにその後の「略歴」の項では「世田谷区乗泉寺」と正しく記載されてます。寺の正確な名は「乗泉寺世田谷別院」。日蓮宗系の本門佛立宗の寺です。例によってグーグルアースで下調べをするとこの寺の墓所は広い。寺の場所はすぐに分かるが、墓地のどこに目指す師匠の墓はあるのか。まあ行けばなんとかなるだろうといつものようにお気楽な気持ちで寺へ赴きます。
 小田急線の各駅停車で新宿から15分ほど。豪徳寺の駅で下車。駅を出て左側へ。道路幅の狭い商店街を南へ進み5分ほど。世田谷線の線路が右手に見えてきたところで右折し踏切を渡ってさらに100メートルほど歩くと乗泉寺世田谷別院はありました。(下写真をクリックすると大きな画像で見られます)

五代目柳家小さん墓所・乗泉寺世田谷別院


 駅から徒歩5分ほどと言うと便利な場所のように思えますが、この付近は道幅が狭く一方通行の道路が多くて、しかも道は入り組んでいる。クルマで寺に来るのは少々厄介かも知れません。門より入って、駐車場の奥に大きなクスノキがあり、その裏手に歴代住職「**上人」の大きな墓が3基並んでいます。この右手を進むとすぐの右側に木の案内札があり「これより二基目右側 故五代目柳家小さん師匠のお墓です」と書かれています。この案内札については落語のようなちょっとした逸話がありまして、以前は札に「これより二つ目柳家小さんの墓」と書かれていたとか。天下の大名人を前に「二つ目」とは何ぞや。関係者やファンの間でも語られる有名な話ですが、エピソードとして出来すぎだとも思います。

五代目柳家小さん墓所・これより二ツ目


 こうして師の眠る墓はあっさり見つかりました。グレー系御影石のごく一般的な墓石でそれほど大きな墓ではありません。命日ということでお花も線香もふんだんに供えられています。墓の正面は崩した字体で読み取れないのですが「南無妙法蓮華経」で良いでしょうか。墓石右側面には、6人の故人の名が刻まれています。先祖代々の墓であって、五代目柳家小さん個人の墓ではないのですね。これほど名のある方なのに意外でした。戒名は「本行院殿法勲語咄日盛居士」。「語」と「咄」。同類の文字を2つ使うのはくどいかなとも思うのですが。まあよそ者が口を出すような事でもありません。師に落語を楽しませてくれたことを感謝しながら静かに手を合わせました。

五代目柳家小さんの墓


五代目柳家小さんの墓・戒名


 今日は命日ということで、どなたか墓参りに来た落語家さんに遭遇できるかもと思ったのですが、時間が遅かったためかそういう機会には恵まれませんでした。来年来るときはもう少し早い時間にしようかな、そんなことを考えながら駅へと戻ります。

コメント

_ snob ― 2015年05月22日 03:14

さすがに世田谷は自転車で目指すほど、自分は根性がないので、いつか機会があるかなぁとくらいしか考えてませんでした。(世田谷区図書館は誰でもカードを作ってくれるので大いに興味はある)

_ はろー ― 2015年05月22日 20:29

東京の東の郊外にすむ私にとっても、世田谷は疎遠な地です。興味本位の墓参り。墓の場所も分かってしまい、来年以降もこの命日の墓参は続くのでしょうか。

_ まっく ― 2016年09月09日 14:38

元乗泉寺の関係者でございます。
当時、子さん師匠のご葬儀の際にご住職から伺った話で
お戒名の「語」「咄」は子さん師匠が生前「この2文字は戒名に入れてくれ」
とご家族に遺言されていた文字だそうです。
噺家としてのこだわりと伺っております。

_ はろー ― 2016年09月23日 03:16

この2文字に、落語家として生涯を捧げた師の思いが詰まっているのですね。まさに落語に捧げた人生。師の残したものは巨大で、いまも落語界に大きく花を開いています。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
「落語」をひらがなで記入してください。「」は不要です。スパム対策のためご協力ください。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://mirach.asablo.jp/blog/2015/05/18/7636523/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。